もう一度取り戻そう日本人のモラル
最近の日本人のモラルの低下は非常に顕著に現れてきています。まず「弱い者イジメの増加」、幼児虐待や高齢者虐待をはじめとして、少数を集団で暴行したり、何の関係もない人をいきなり殺傷するような事件が後を絶たず、新聞紙面ではさほど珍しくも無くなってきました。タバコやゴミの投げ捨ては、大衆が見ている面前でも平気で行われ、不法投棄による環境破壊も日に日に多くなってきています。
従来日本人はそのモラルの高い国民性ゆえに、世界から絶えず注目されてきました。たとえば、平成七年の阪神・淡路大震災は、6000名を超える死者、40000人以上の負傷者、約24万棟の倒壊家屋という戦後最大の災害でしたが、被災者に暴動が全くおきなかったのは、大変世界を驚かせました。韓国のテレビもそのことを報道しており、日本では商店の商品略奪はないほうが当たり前なので、ニュースにはなりませんでした。「おかげさん」や「有り難い」、「弱きを助け、強きを挫く」といった日本人のモラルの高さや謙虚さをあらわす言葉は沢山ありますが、最近では急激にその誇り高きモラルが低下しているようです。個人だけではなく企業もそうです。ただ儲かればよいといった考え方が中心となり、その結果、青少年の健全育成を阻害したり、誤った情報を提供したりして、結果的に社会のモラルを低下させている企業も少なくありません。
このような時期に、今こそもう一度モラルの向上を目指して、個人が企業が一歩一歩活動していく必要があります。ゴミやタバコの吸い殻を一つひらうことからでもかまいません。他人の子供でも悪いことをしていたら、勇気をもって叱ることでもかまいません。そういう意識を持つことが大切であると考えます。
エオネックスグループでは、毎年一回グループリーダー以上の管理職が集まって約40名で一泊二日の合宿を行います。毎年石川県の吉野谷村にある白山里(はくさんり)という温泉付きの施設で行っているのですが、初日は一日中各グループの一年間の運営方針について全員で協議し、その日の夜は大いに飲み交わします。次の朝はどんなに遅くまで飲んでいても、朝六時に全員起床し、全館の掃除を一斉に2時間ほどかけて隅々までします。その後みんなで朝食をとるのですが、その時の顔は皆実にすがすがしい表情をしています。
こんな時に日本人の持つモラルの高さを私はとても感じます。掃除はその場所も美しくさせるし、その人の心を美しくするのだと思います。
今年度のテーマ「コミュニケーション」と「モチベーション」
前述しました日本人のモラルの高さを表す言葉に「思いやり」と言う言葉があります。辞書には「他人の身の上や気持ちをおしはかること」とあり、エオネックスグループの経営基本方針第四にも「和の心と友愛の精神で一致協力し、常に利他の心を忘れずにチームワークを持って仕事に邁進する」とあり、企業人としても他人を思いやることに重点をおいています。その一環としてコミュニケーション(意志の疎通)を今年の一つのテーマにしました。一日の内の約7割は職場にいます。コミュニケーションが不足すれば、対人関係も悪くなってきます。結果において「思いやり」に欠けた職場関係になり、自分の能力の何分の一も発揮できないようになってしまうことが考えられ、仕事の能率も低下します。
コミュニケーション(意志の疎通)をアップし、「思いやり」があふれる職場づくりを実践していきたいと考えます。
もう一つのテーマはモチベーション(やる気)のアップです。エオネックスグループは平成15年4月に北陸地下開発と北陸分析センターが合併して社名変更した後、東京、大阪、東海と営業所を設立し、広域的な営業展開を実践しています。また、商品としても北陸地下開発と北陸分析センターが合併したことにより、土壌汚染調査や温泉の成分関係のメンテナンス、通称砂防新法による基礎調査等のニーズが広がり、業容も急速に拡大しました。新しい人材の投入もさることながら、今こそ一人一人のモチベーション(やる気)
を高めていく必要があります。この一環として今後の長期プラン(10年)では現在のチームリーダーを現在の役員・部長クラスで育成・援助し、速やかな世代交代を実施できるような組織づくりを提案しています。
このコミュニケーション(意志の疎通)とモチベーション(やる気)の二つのテーマでさらなる企業のパワーアップを図り、お客様に満足していただける商品を提供し、人財
を育成していきたいと考えます。
成果主義とプロセス主義
エオネックスグループは、給与体系のみを見てみるとあたかも成果主義のようにもとられがちです。今から10~15年ほど前にバブルが崩壊すると日本の大手企業はこぞって成果給を導入し、それまでの年功序列の組織は崩れ、より成果をあげた人が出世するようになりました。これにより企業のリスクはあたかも回避されたように見えますが、逆に人を蹴落としたり、自分さえよければといった管理職が急増し、「思いやりの心」が薄れ、逆に社風が悪くなった企業も多々あると聞いています。エオネックスグループは、昇級の第一条件としてグループへの貢献度を重視しています。したがってどちらかというと一人であげた成果よりもチームであげた成果を重視しており、ニューヨークヤンキースの松井選手がいつも口癖のように言っている「チームへの貢献」が優先されます。そしてそれは結果的にそこに至るまでの経緯が大きなポイントとなるので、どちらかと言うと成果主義よりもプロセス主義ではないかと思うのです。辛いときはみんなで我慢しあい、実りの時にはみんなで分け合う。そんな企業を目指したいと考えます。
2004年度はさらなる挑戦の年度
イラク情勢の悪化や北朝鮮を取り巻く国際問題が揺れ動く中、日本の景気状況も日々変化しています。中国の景気に後押しされ、民間業務を中心とした製造業等は好転していますが、700兆円を超える財政赤字を抱えている日本国での公共事業は年々減少の一途を辿ることが予想され、我々の建設業界は大変苦しい状況に立たされています。市町村合併もいよいよ佳境を迎え、合併前の駆け込み受注も望めないようになってくるでしょう。
しかし、これからの長寿社会においてのキーワードは、健康(温泉、地下水)、環境(土壌、水、自然)、管理(防災、メンテナンス)の3Kで、我々が得意な分野が集中しているのも事実です。今こそエオネックスグループのノウハウを結集して、新たなニーズを創造していく時期であると考えます。一般的にはピンチととらわれる状況でも我々にとってはチャンスです。ぜひこの2004年度はさらなる挑戦の年度と位置づけ、大いなる飛躍の年度としたいと思います。私も一生懸命頑張りますので、宜しくお願い致します。
エオネックスグループ
(株)エオネックス
(株)利 水 社
代表取締役 市山 勉